ヘアサロンで人生が変わる瞬間を描いた、髪の毛パペットアニメーション作品「Hair album」が、D&AD他世界のアワードで受賞

切り落とした髪の毛に記憶された想い出を、
ストップモーションアニメーションで表現

本作は、オンライン動画コンテスト「第8回BOVA（Brain Online Video Award）※」の応募作品として、協賛企業であるタカラベルモント株式会社の「ヘアサロンで“人生が変わる瞬間”を描く」という課題に対して制作した、ストップモーションアニメーション作品です。
私たちのとても身近な存在である「ヘアサロン」には、髪を通して人の心に触れ、前向きな気持ちを引き出したり気分をリフレッシュさせたりする力があります。そんな理美容の魅力やエネルギーが伝わる動画を通して、美容師・理容師のモチベーションの向上、さらには理美容業界の活性化に繋がる事を目的とし、「ヘアサロンで“人生が変わる瞬間”を描いた動画」という応募課題が設定されました。
今回、弊社のディレクターである石川結貴［TOKYO所属］が脚本・演出を務め、八代健志［TECARAT所属］（ 『プックラポッタと森の時間』にて第76回毎日映画コンクールアニメーション部門・大藤信郎賞受賞など）が、アニメーション演出・撮影を担当しました。

＜ あらすじ ＞

とある美容室。伸びきった白髪の老婆が来店する。
美容師がハサミを入れると、髪の毛が床にぽとり。
すると切られた髪ざが集まって、若い女性の姿に。
彼女の目線の先には、長年連れ添った夫との記憶が次々に蘇り始める・・・。

コロナ禍に、チームで何度も話し合いながら作品を形作っていきました。
大切な人を亡くしてしまったおばあちゃん。彼女が髪を切る理由を何度も話し合い、動画のストーリーに落とし込みました。
ストーリーの運び、髪の毛の繊細な動き、一つ一つに多くの人のアイデアや想いが詰まっています。
そうしてできたこの作品が多くの人の目に留まり、言語や文化を超えて、想いが少しでも伝わってくれていることがとても嬉しいです。
きっちりとアニメーションされたコマ撮りの中に、髪の毛の意図せぬ揺れが入っているのがとっても可愛いポイントです。

切り落とした髪の毛に記憶された想い出がテーマでした。
映像はおぼろげでも、大切な想い出には何かしらのはっきりとした感覚が残っていると思います。その感覚こそが、その人にとっての真実なのではないか。髪の毛人形はそれを表現するのにとても素晴らしいモチーフでした。
髪の毛人形を通して、思い出の出来事の中に潜んでいる切実な感情を、うまく彫りおこせたと思っています。顔がないのに顔のアップがこんなに効くなんて！今回は「顔のない人形」の表現力に大いに驚かされました。

長く伸びた髪には長年連れ添った大切な人とのストーリーが詰まっているのではと着想し、切り落とされる古い毛を素材にした「髪のパペットアニメーション」という手法に挑戦しました。
人形はウィッグから髪の毛を１本１本採取し、可動性を保ちつつ髪らしさを失わないように造形。その人形を１フレームずつ手作業で数ミリ単位で動かしながら、シーンごとに丁寧に演技をつけて撮影しました。
人の温もりを感じにくいコロナ禍だからこそ、手作りの映像で温もりを感じていただく想いで、捨てられるずはずの髪の毛に命を吹き込んでいきました。
離れ離れになった夫との記憶が妻の背中を押すストーリーから、人を髪から生まれ変わらせる、理美容師にしかできない力を感じていただけたらと思います。

【 Staff List 】

企画制作　博報堂＋太陽企画
 
企画/コピーライター/脚本　横井優樹
脚本/演出　石川結貴
アニメーション演出＋撮影　八代健志
 
プロデューサー　松井理紗、高尾優一
プロダクションマネージャー　丹司宙
編集　松岡勇磨（オフライン）、 波多野純（オンライン）
美術　根元緑子、中根泉
カラリスト　山口武志
MA　藤原礼実、久保七海
SE　成田明人
音楽　Justin Frieden
 
－ アニメーション撮影 －
撮影＋照明　宇埜良
アニメーター　上野啓太
 
－ 実写撮影 －
撮影　古長真也
照明　大堀治樹
録音　菊池秀人
HM/出演　浜香奈子
出演　渡邊昭子、長谷部篤
ロケ地　HairSalon F

「BOVA」は、株式会社宣伝会議が発行する月刊『ブレーン』の誌面企画として、映像制作業界の活性化と次代を担う創作者の発掘と育成を目的に、2013年から開催されているオンライン動画のコンテストです。
協賛企業から出された課題に対して、解決策となる動画を募集する「一般公募部門」と、企業のマーケティング課題解決のために作られたオンライン動画を募集する「広告主部門」によって構成され、本作は「一般公募部門」の応募作品として制作しました。