INTERVIEW 06
僕は、社外のスタッフさんとどう打ち解ければいいのか…ってことが想定外の悩みです。チームが一体となって現場を回すためにはお互い信頼関係を築くことが必要だってわかっているんですが、その糸口が見つけられない。当たり前なんですけど、照明部や撮影部は大ベテランですから、気後れしてしまって。会話しなくちゃって思うと更に緊張しちゃう。みんなはどうしてる?
僕はいろんな質問をしまくる。質問の間に仕事をしている自分がいるくらい(笑)。質問をすると、ほとんどの場合答えを返してくれる。これって会話だと思ってる。内容はそんなに重要じゃなくて、球を打ち返しながらラリーをしているようなイメージ。参考になればええけど。
現場で初めましてのPMとベテランさんが、雑談から会話が始まるってことってまずないよね。僕も忙しい時を避けて必要な業務の話から始めてみるようにしてる。1年目だから知らなくて当然というのをチャンスだと捉えてます。
現場で名札をつけてると、それだけで話しかけてもらえるよ。あとは現場に入ったら"人見知りじゃない自分"を演じてる。"元気な濱田"っていうのを憑依させて、ベテランのスタッフさんたちは、失礼ながら「この人は親戚のおっちゃんや、きっとこの人にも自分と同じくらいの姪がいるはずや」と自分に思い込ませて、元気に挨拶をするようにしてる。
私が想定外だったことは、撮影直前の準備や現場でやらなくちゃいけないことが、想像の倍大変でした。一つひとつ案件を集中してやっていくものだと思っていたので。先輩たちは案件を複数掛け持ちしていて、それぞれをしっかり把握しているから本当にすごいなと思っています。土日は予想以上に休めているけど、先のスケジュールが読めないので休日の予定を立てるのが難しいよね。
プロの現場は予想以上にハードワークだった。連日撮影で大変だった現場では、助監督さんはじめ照明部さんにもずっと怒られっぱなしで、めちゃめちゃしんどかった。それでも最後には「ありがとうございます!」ってお互い言い合うのいいよね。
達成感と開放感があるよね!私も大変だった撮影現場で照明部さんと助監督さんに、肩をぽんぽんされて褒められたのはひとしお嬉しかった。
僕は2回目の現場で忘れられないミスをした。好きなバンドのMVの撮影ですごく楽しみにしていて、僕はカンペ担当。カンペを作って現場で出演者に出すという仕事です。出演者は2名なので、本来なら二人分カンペを準備すべきなのに、一枚にまとめていたから演者さんに伝わらない状況になっていました。僕の失敗で現場がピリピリしはじめて、カンペを2つに割いてなんとか対応していたんですが、その一枚が破れてめちゃくちゃになってしまって…。先輩から「こういう時は多めに出力しておくんだよ」と注意を受けました。演者さんを待たせてしまったし、現場の進行も止まる。やらかしたな〜って。以後は反省して、"何でも多めに"を心がけています。
僕も2回目の現場で失敗した。商品撮影で、その商品を素手で触ろうとしたら、先輩に「素手で触っちゃだめだよ。"ネガテ"つけて」って言われたんだけど、"ネガテ"(*商品を扱う時に着用する手袋)が何か分からなくて、頭がいっぱいいっぱいになって思考停止しちゃった。撮影が落ち着いた時に先輩が丁寧に教えくれたんですが、「商品の扱い方」はもう忘れないと思います。これまでの僕は消費者としてしか商品に触れてきてないから、お客さんから預かってるっていう意識がなかったんですね。仕事から教えてもらったことです。
私は大ミスをした時先輩に「PMの仕事っていうのはビジネスでありサービスなんだよ」って言われた言葉が忘れられない。私の管理不足で、あるべきものが準備されていないことが撮影直前になって判明したんです。最終的になんとかなったんですが、その時に「この仕事はサービスを提供する仕事でもあり、映像を作るビジネスでもあって、両側面で考えなくちゃいけない。もっと準備できることがあったよね」と言われました。グサっときましたが、その通りです。PMの仕事って想像していたよりも、細部に及んで気を配る必要があるんだってことを学びました。
会社にはメンター制度があって、メンターさんにはよく助けてもらってます。何でも聞けて、何でも答えてくれる。
ミスした時も「焦らなくていいから」ってまず落ち着かせてくれたり、解決策を提案してくれたりすごく安心感があります。この雰囲気は会社全体にも感じています。
電話が苦手で、最初はどういう言葉遣いが正解なの?ってすごく悶々としていましたが、とりあえず見様見真似で周りの先輩の対応を参考にしました。最近プロデューサーに電話対応を褒められて「あぁ、間違ってなかったんだ」ってホッとした。電話での会話で気をつけていることは、硬くなりすぎないようにすること。PMの電話ってお願いごとばっかりなんですね。融通を利かせてもらうためにも、敬意を払いながらも話しやすい雰囲気をつくることは社会人になって培った能力だと思います。
電話でいうと僕は逆で、すぐに電話しちゃうタイプでミスってる。あの件も聞いておけばよかった〜っていうのが後々発生するんですよ。連続で電話をしちゃって迷惑かけたり、僕のミスコミュニケーションが原因で先輩にクレームがきてしまったり。落ち着いて先読みすることも、コミュニケーションの一つなんだって。バージョンアップしたことは、やっぱり僕は映像制作の経験が全くないことが不安だったけど、そこが自分の中で振り切れたこと。会社に入るまでMacも触ったことなくて、研修でMac渡された時「うわっ、Macやん!」ってなったレベルでしたから(笑)。